ハイサイ!
千葉から沖縄に移住したパーソナルトレーナーの五木田です。
デュアルライフを実践中。ボヘミアンな働き方をしています。
年末のことですが、LINEからこんな質問・相談が来ました。
またメドゥージェフというロシアの選手もいるのですがその人の打ち方は見た目的には汚いのですが、専門家から見るとどうなのでしょうか?
面白い質問です(笑)
そんなわけで、久しぶりに、クライアントや読者の皆様からいただいた素朴なご質問にお答えするQ&Aブログを更新致します。
今回の質問は、
専門家から見て、
「フェデラーとメドベージェフ」の違いを教えてください。
そこで、両選手の動きを観て、比較してみました。
返答内容
その上で、こんな返信をしました。
フェデラーは、無駄な力みがなく、体全体をうまく使って打ってる印象です。理想的なフォームと言えるでしょう。
一方、メドベージェフは、荒削りな印象だけど、体全体をうまく使って打ってはいるなと。見た目は汚いけど、力の伝え方としてはうまい。これはこれで良い。
トレーナー側が選手を指導する場合、スキルコーチではないので、選手の感覚を重要視します。メドベージェフのフォームをフェデラーみたいに修正しようとすると、彼のパフォーマンスは下がるでしょう。
フォームの違いは、個性の違いであって、これはどの競技にも言えることです。その選手に合った理想的な形というのがあり、その辺を選手、コーチ、トレーナーが連携してできると、最高のパフォーマンスを引き出せます。
フェデラーも、メドベージェフも、それぞれ個性の違いはあれど、身体の使い方はうまいし、自分の体をうまくコントロールすること、ラケットの扱い方がうまくできています。選手自身の感覚的にOKで、怪我がなく、パフォーマンスを発揮できているなら、フォームの見た目が多少悪くてもOKです。
テニス選手を専門にみているトレーナーに確認してみても、同意見でした。
テニス専門のパフォーマンスコーチとの意見交換
最後の一文にもありますが、私の認識だけだと不足なところもあるかもしれないし、テニス視点の意見も聴いてみようと、五木田塾メンバーで、テニス専門のパフォーマンスコーチをしている染谷海時くんにも相談してみました。
個人的には、フェデラーは無駄がない、メドベージェフは荒削り、という印象。でも、良い悪いではなく、どちらもコントロールはできているかなと。
フェデラーはとにかく五木田さんの仰る「脱力」がとても上手い選手です。ストロークの際の運動連鎖は寝返りそのものかというくらい流れるような各関節の繋がりが見えます。
試合中の打球時の顔を切り取った写真を見ても、「表情に力みがない」のもとても印象的です。「当たりで飛ばす」とスキルコーチの一部では言われますがそれが上手いです。
僕らの言葉では、ラケットやガットを使ってボールを打つ(力を伝える)コオディネーション能力が他のトップ選手に比べても高いです。
背が高い事もあり重心が高く、上半身で打っているように見えることが多いですが、上記のように力を伝えるのが上手いですね。これは「彼の感覚」が間違いなくあるフォームだと思うので、トレーナーが下手にいじるとパフォーマンスが下がる可能性があります。
選手に伝える際には 「フォームをみればどちらが良いではなく、個性である。それぞれ自分自身の身体を使うこと、ラケットを使う事が上手く、感度が高い。 でも基本的な足からの連鎖や打つ際の体幹や方の安定性は皆共通するところ。 特にフェデラーの身体の使い方は分かりやすい。 選手の感覚的にOKで怪我なく結果が出ているなら汚くてもOKと思います。」 と伝えます。
写真は、フェデラー、メドべ、ナダル、ジョコビッチ、錦織圭です。
これは今後ストレングスと絡めて、伝えていきたいところです。
トップ選手の動作比較とかまとめると面白いかもね!
という、今後のやりたいことが見つかる良いディスカッションとなりました(笑)
とりあえず、答えとしては、上述した通りですが、せっかくなので、もう少し詳しく解説しておきましょう。
キーワードは「脱力」「運動連鎖」「動作効率」「スタミナ」「力の伝え方」「操作性(コントロール、コーディネーション)」などですね。
脱力の大切さ
スポーツにおいても「脱力」は大事です。
なぜかと言えば、力むとパフォーマンスが低下するからです。
これは体感的にわかることですが、脱力できている状態は、めちゃくちゃ動きやすく、自分のパフォーマンスが高くなったと感じます。
力むと、どうしても腕に力が入りやすく、体の連動性が失われ、下半身から生み出した力が伝えられません。
また、筋肉が緊張しっぱなしだと、関節可動域(モビリティ)も狭くなります。
うまく伸びない筋肉は、肉離れなどの怪我のリスクも高まります。
さらには、無駄に力が入っているので、体力の消耗も激しくなり、持久力が低下します。
また、力むと、呼吸が浅くなり、酸素摂取量が減りますから、やはり持久力は低下します。
さらに、浅い呼吸は胸式呼吸であり、お腹の力が抜けやすくなり、肩・腕の力が入りやすく、やはり下半身からの力が伝わらなくなってしまいます。
さらにさらに、精神的にも落ち着きが全然変わります。
脱力ができていると、思考にゆとりがあり、判断能力が高まります。
一言で言うなら、脱力とは、ニュートラルな状態のことです。
緊張したまま動けば、早い動きはできませんし、どこかぎこちない動きになってしまいます。
ゆるんでいるからいつでも反応できるんです。緊張したままだと、反応が遅くなります。
スポーツにおいては、致命的ですよね。
脱力ができていないことは損だらけであり、脱力ができている場合は、逆に有利な点が数多くあります。
「脱力」ができていることは、前述したキーワードの「運動連鎖」「動作効率」「スタミナ」「力の伝え方」「操作性(コントロール、コーディネーション)」すべてに関連します。
その他、「脱力」に関しては、こちらの過去記事をお読みください。
パフォーマンスを高めるためには
スポーツパフォーマンスを高めるためには、「パフォーマンスピラミッド」という概念が役立ちます。
まず、土台となる部分として「基礎的動作」ができているかという話になります。土台ができていない場所に、高い建物を建てることができないように、基礎的動作(すら)ができていないのに、高いパフォーマンス(専門的動作)を発揮できるわけがありません。
トップ選手、アスリートは、どの競技においても、原則として、基礎的動作がよくできています。
で、その「基礎的動作」とは、関節可動域がしっかりあり、効率よく全身を連動させ、体をコントロールしながら、自分の思うように動かせる能力です。
これは、パフォーマンスを高めるための順番を、簡易的に単純化して示したものです。
パフォーマンスを高めるため(土台を拡げ、安定させていく)には、まず最初に「可動性」が大事です(可動域と言ってないところに注目してください)。可動性とは、関節可動域が基本となりますが、それに加えて「動きやすさ」という要素も入っています。単に柔軟性があることを指しているわけでなく、脱力ができているかどうかも要素の1つに入っています。
単純に言えば、より大きく動けて、より強い力が発揮できて、よりうまく動けるようになっていけば、あなたのパフォーマンスは高まっていきます。ですが、順番が大事です。まず可動性なんです。筋トレして筋肉だけつけても、パフォーマンスを伸びません。一番影響するのが、可動性だからです。土台がないものの上に、建物を立てようとしても無理があります。基礎がしっかりしていなければ、建物は崩れてしまいます。それと一緒です。
同じように、スポーツの練習(スキルトレ)ばかりしていても、可動性が低かったり、筋力が低かったりすると、身につけられないスキルもありますし、可動域も筋力もないのであれば、小手先のテクニックくらいしか身につきません。
また、「可動性」は「可能性」でもあります。動きの幅が大きければ大きいほど、可能性が広がります。前屈できないよりは、前屈して手がべったり床についた方がいいんです。つかなくてもいいけど、ついた方がいい。可能性が広がるから。
可動性がないということは、制限があるということですから、その時点でパフォーマンスは下がっている(可能性が低下)と自覚してください。
で、上の図の下の部分を確認してください。「感情」と「栄養」とあります。
動き(身体能力)だけでなく、さらにその土台に「感情」の影響と「栄養」の影響があるということです。心の状態がパフォーマンスに影響します。
どんなに良い車に乗っていても、運転手の運転が下手では良いパフォーマンスは発揮できないのはわかると思いますが、その運転手の心理状態が、運転に影響するのもわかるかと思います。
さらに、身体をつくるのは食べたものからですし、その身体を動かすのは食べたものからです。
自分をコントロールできているか
すべてをまとめていくと、自分の心と体を自分でコントロールできているかという話になります。コントロールできている=安定性があるという形になります。
スポーツ選手においては、自分自身の心と体の状態を高めつつ、一定のパフォーマンスを発揮し、なおかつ安定したパフォーマンスを発揮できるかどうかが重要ですからね。
まとめ
そんなこんなで、まとめます。
- フェデラーは、無駄な力みがなく、体全体をうまく使って打っている理想的なフォーム。
- メドベージェフは、一見汚く見えるけど、彼なりのフォームの中で体全体をうまく使って打ってはいる。
- どっちがいいとかではなくて、どっちもそれぞれ良い。自分に合ったフォームというのがある。
- 自分に合ったベストなフォームがある。自分なりの感覚を高めていくことが大事。
- トップアスリートを見比べていくと「脱力」がうまい。
- パフォーマンスを高めるためには、パフォーマンスピラミッドをベースに考えると良い
- 自分には何が必要かを考え、取り組もう。
- 良いトレーナーの指導を受けられると、より効果的です。
- 全国のオススメのトレーナーもご紹介できます。
以上です。
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