本日は船橋アリーナで活動中のパーソナルトレーナー五木田です!

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「体幹の役割とは何ですか?」209

 

前回の「体幹とは何ですか?」に引き続き、今回は、体幹の働き、機能に関して説明していきます。

まずは、前回の復習です。

  • 体幹とは、頭と腕と脚を除く部分。つまり、胴体のことである。
  • 体幹は、胸郭、脊柱、骨盤から構成される。
  • 体幹の動きに関与する筋群は、腹筋群と背筋群である。
  • 体幹の動きは、屈曲、伸展、側屈、回旋。身体を丸める、反らす、横に倒す、捻る、である。

■体幹の役割について

では、実動作の中で、体幹の筋群はどのように働くのでしょうか?

前回最後に書きましたが、体幹の役割は、大きく2つ考えることができます。

①体幹を安定させること
②力を伝達すること(下肢で生み出した力を上肢に伝える)

では、順々に説明していきましょう。

 

■体幹は、構造的に不安定。

「体幹」とは、「体の幹」と書きます。
そして、その中心にあるのが、脊柱(背骨)です。

脊柱は、26個の椎骨が積み重なった形状をしており、

頸椎(7個)
胸椎(12個)
腰椎(5個)
仙骨
尾骨

で構成されています。

26個の骨が縦に積木のように並んでいる構造ですので、非常に不安定な構造です。

不安定な構造だからこそ、安定させなければなりません。

体幹の動きは、屈曲、伸展、側屈、回旋があると前回述べました。

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体幹の筋群は、外力に対して、体幹部が

屈曲しすぎない
伸展しすぎない
側屈しすぎない
回旋しすぎない

ように、維持するように、拮抗作用として働きます。

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不安定な構造なので、「◯◯し過ぎ」ては、構造自体が壊れてしまう可能性があります。それが、いわゆるケガですね。また、適切な力を発揮する事もできなくなります。

つまり、脊柱(体幹)は、不安定な構造だからこそ、生理的湾曲(S字)を保ちながら、安定しておく必要がある、ということです。

※生理的湾曲(S字)については、別途記事で解説します。

 

■下肢(脚)が生み出した力を体幹を介して上肢(腕)に伝える

立つ、歩く、走る、飛ぶ。

あまり意識していない方の方が圧倒的に多いと思いますが、これらの動作は全て下肢(脚)の力で地面を押している、蹴っているから行われているものです。

りんごは勝手に木から落ちます。なぜでしょうか?

重力があるからですね。

力学で「万有引力の法則」といい、近代力学の礎を築いたニュートンがりんごが木から落ちるのを見て閃いたというのは、有名な話です。

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人は、地面に足がついているので、それ以上、下に落ちる事はありませんが、実際は落ちています。ジャンプして宙に浮いていられないのは、重力があるからですよね。

常に、我々は、地球の中心に向かって引き寄せられており、無意識に我々は、常に重力に対して、拮抗して力を出しています。重力に負けないように、足で地面を押し返しているんです。

作用反作用

物体Aが物体Bに力を加えた時、BもAに同じ大きさの力で反対方向に押し返す力が働きます。こういうのを力学で、作用反作用の法則と言います。

 

引き寄せられる力と同等の力で押し返している時、立っていることが可能となり、引き寄せられる力以上の力で垂直方向に地面を押し返した時、ジャンプする事ができます。

それを水平方向のエネルギーに変換する事で、歩行や走行が可能となります。

下肢(脚)で床を蹴る力(反力)を体幹を介して上肢へ伝える事により、手で物を投げることができます。パンチを打つ事ができるようになります。

 

そして、力は、物体が硬ければ硬いほど、伝わりやすくなります。

木製バットと金属バットでボールを打った時、どちらのほうが遠くまで飛ばすことができるでしょうか?

 

下肢(脚)→体幹→上肢(腕)と、力は伝わっていきます。

下肢で発生させた力(反力)を上肢まで伝達するためには、仲介役の体幹の固定力が強いと、無駄なく、効率良く、力を伝える事ができます。

より強い力を伝えるには、より強く固める必要があります。

下肢で発生させた力を伝えるために、体幹の固定力が必要となるわけです。

 

■体幹がどうのこうの言う前に考えるべきこと。

ここでまずご理解していただきたいのは、体幹がどうのこうのの前に、まず下肢から力の伝達が始まるということです。

体幹の固定力、強さは必要ですが、下肢(脚)でしっかりと床を押す感覚、床反力を得る感覚が分からなければ、体幹を固める意味がありません。

 

 

全ての動作は、下肢で生み出した力を、体幹を介して、上肢に伝えていくような形になります。この一連の力の流れを考慮して、体幹を固める感覚を養うことは必要だとは思います。

 

でも、体幹トレーニングと言われるものをやってる方々は、ほとんどの場合、そこを意識してやってないんじゃないでしょうか?それでは、ほぼ意味がないと言っても過言ではありません。

 

 

 

個人的には、体幹を固める感覚、床反力を伝える感覚を養うために、導入として、初期段階に、いわゆる体幹トレーニング的なエクササイズの指導はしています。でも、それが分かるようになったら、やりません。

下肢で生み出した力を、体幹を介して、伝える感覚を養うには、スクワットやデッドリフト、ベントオーバーロウ、ショルダープレス、ベンチプレスなどの種目が有効です。これらの種目を、適切なフォームでやることができるならば、俗に言われる体幹トレーニングと言われるようなものをわざわざやる必要がありません。

 

 

体幹、体幹、体幹、言ってる人が多いので、体幹トレーニングというと、ものすごく良いものであるという認識があるかもしれませんが、体幹トレーニングとは、体幹部の運動のことであり、それ以上でも、それ以下でもありません。

 

 

ず出力を大きくしないと、どんなにうまく固められようが、力を伝えられようが、競技パフォーマンスを高めていくことは難しいです。伝えられる力が弱いからです。まず、強い力を生み出せるようにすることが必要です。

自重程度、軽めの負荷でトレーニングを行っていても、出力は高まりませんし、体幹の固定力も養われません。出力を高める、体幹の固定力を養うためには、負荷をかけたウエイトトレーニングを行うことが最善の方法とあります。

 

次回は、もう少し詳しく体幹トレーニングと言われるものについて書いていきたいと思います。

 

では、まとめましょう。

  • 体幹の役割は、体幹を安定させること、力を伝達すること、の2つが考えられる。
  • 体幹(脊柱)は、不安定な構造のため、安定性が求められる。
  • 体幹は、外力に対して、屈曲しすぎない、伸展しすぎない、側屈しすぎない、回旋しすぎないように働く必要がある。
  • 下肢(脚)で床を蹴る力(反力)を体幹を介して上肢へ伝える事により、手で物を投げたり、パンチを打つことができる。
  • 下肢で発生させた力を上肢まで伝えるために、体幹の固定力が必要である。
  • いわゆる体幹トレーニングだけをやっても、競技力向上にはあまり役立たない。

 

なお、実動作を考慮して、床反力を得る感覚、体幹を介して上肢に伝える感覚をどんな方法で行っているのかを学ぶ指導者向けのセミナーを、現在開催中です。

7月20日(日)19〜22時
「ムーヴメントパターンコンセプトにおける体幹トレーニングの実際」
8月17日(日)19〜22時
「ムーヴメントパターンコンセプトにおけるエクササイズの分類の実際〜下肢のプッシュ&プルphase2〜」
9月14日(日)19〜22時
「ムーヴメントパターンコンセプトにおけるエクササイズの分類の実際〜上肢のプッシュ&プルphase2〜」

 

こちらにご参加いただくと、この記事の内容をより深く理解できるようになると思います。ご興味ある方はぜひ!

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それでは、また(^o^)/

 

パーソナルトレーナー
五木田穣

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