Your Best Solution代表/パーソナルトレーナーの五木田です。
現在、加圧トレーニングの指導資格を有していますが、今月末で有効期限が切れます。が、資格を更新するつもりはありません。
たまーに、「なんで辞めちゃうの?」と聞かれますが、その理由は、以前書いていますので、コチラをご確認下さい。
この時の記事に関する、いいね!が400を越え、ものすごい反響に驚きました!
しかしながら、先日、過去記事の編集をしていた時に、うっかり、スラッグを変更してしまったため、別URLとなり、いいね!が全て消えてしまったのです。。。大変申し訳ございません。。
さて、加圧の資格がなくなる前に、加圧トレーニングについて、客観的な視点で少し述べておこうと思います。
まず、加圧トレーニングとは、専用の加圧器具(加圧ベルト)を使用して、四肢(腕や脚)の付け根に適正な圧をかけながら、適切に血流を制限しながら行うトレーニングの事です。
「加圧トレーニング」がものすごく特別で、ものすごく効果があると思っている方も多いようですが、実際のところ、そうとは決して言い切れません。
その理由を述べて行きましょう。
まず、「加圧トレーニングの5大効果」というものが良く言われています。聞いた事、見た事がある人もいるでしょう。
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①ダイエット効果
加圧トレーニングを行うと増大する成長ホルモンによって、太りにくい体になります。また、トレーニングによって筋肉が増えると、脂肪が燃焼しやすい体になります。
②血行促進
加圧と除圧を繰り返すことで、血管に弾力が蘇ります。血行がよくなり、血流量も多くなるので、新陳代謝が活発になります。冷え性や肩こりなどの不調が改善します。
③回復力アップ
加圧トレーニングを行うと骨折や肉離れ、ねんざなどのケガの回復が早くなるという研究データがあります。成長ホルモンによって、筋肉や人体の修復が早まると考えられています。
④筋力アップ
軽い負担で高い効果が得られるので、トレーニングを続けやすいのが特徴です。さらにケガなどもしにくいので、老若男女だれでも実践できます。
⑤若返り•美肌
加圧トレーニングをすると通常の約290倍もの成長ホルモンが分泌されたという研究結果が出ています。成長ホルモンは、肌のハリやツヤを取り戻し、脂肪のつきにくい体にしてくれます。
(加圧トレーニングのオフィシャルサイトより引用)
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これだけ読んだら、なんか凄そう!なんか良さそう!って思いますか?
まず、加圧トレーニングの一番のうたい文句は成長ホルモンみたいです。
みたいです、って言うのは、違うと思っているから、そういう言い方になる訳ですが、、
「加圧トレーニングをすると通常の290倍(または300倍)もの成長ホルモンが分泌された」と、研究データを元に、多くの加圧指導施設、加圧指導者が宣伝文句としてうたっています。
ちなみに、成長ホルモンの主な働きは、
①筋合成の促進
②脂質代謝の亢進
③代謝を活発にする
④若返り効果
などがあげられます。
仮に、300倍もの成長ホルモンが分泌されるのであれば、ものすごい効果が出そうです。
このグラフは、加圧をした場合と加圧をしない場合で、同内容のトレーニング内容を行った場合の成長ホルモンの分泌量を比較したものです。
トレーニング開始15分後に分泌量のピークがきており、加圧をしない場合と比べると明らかに違うのがお分かりになると思います。先述した、「加圧トレーニングをすると通常の290倍もの成長ホルモンが分泌された」というデータがコチラになります。
この実験結果だけみると、加圧トレーニングってやっぱすごいじゃんってなるんですが、もう少し突っ込んで考えてみると、、実はそうとは言い切れません。
この実験の被験者の方の加圧前の成長ホルモンの分泌量は、0.15ngです。加圧トレーニング後は、約45ngになったそうです。これがおおよそ290倍になる訳ですね。
まず、この被験者の通常時の成長ホルモンの分泌量がめちゃくちゃ少ない。
加圧をしない状態、何もしていない、通常の状態での成長ホルモンの分泌量は、おおよそ0ng~10ngと言われております。それに対して、たったの0.15ngです。なので、この被験者の方は、一般の方に比べて、元々かなり成長ホルモンの分泌量が少ないと言えます。
もし仮に、通常時の分泌量が10ngの方が行ったとしたら、加圧トレーニング後の分泌量は4倍程度にしかならないという事になります。
こういう研究データは、そもそも、この実験で得られる効果が有効であるということを証明したいので、そういった数値が出やすい方を被験者にするというのは、良くある事です。
見た目の数値だけに捉われると、こういったトリックにうまいように引っかかってしまいます。
ちなみに、成長ホルモンが大量に分泌されるのは、高強度のトレーニング(加圧トレーニングも含む)を行った後と、睡眠1時間後くらいと言われておりますが、その量は、約35~50ng(ナノグラム)程の分泌となり、これ以上の分泌はありえないといわれています。
成長ホルモンの分泌量の限界点は、通常の筋トレであろうが、加圧トレーニングであろうが、変わらないんです。
加圧トレーニングをすると通常時の290倍出るといわれていますが、普通のウエイトトレーニングを行っても、通常時の290倍の分泌は可能なんです。
つまり、成長ホルモンの分泌量をうたい文句にしているのはちょっと違うんじゃないかなーというのが、私の見解です。その他にも加圧の利点は多々ありますしね。
加圧は優れたトレーニング方法の一つだと思いますし、有効に活用しようと思えば、かなり使えるトレーニング方法の一つです。でも、メリットをあげれば、たくさんでてきますが、デメリットもあげれば、たくさん出てきます。
加圧トレーニングの特性から考えると、加圧トレーニングは基本的に四肢(腕と脚)の運動にしか適用できません。
体幹部については、加圧をした状態で行なう(四肢の血流を制限しながら行う)ことは、生理学的にみて、あまり有効性があるとは考えられません。
また、身体の動作は、身体の中心部(体幹部)から起こるものですから、加圧トレーニングのような末端(腕や脚)の運動をメインに行うというのは、本来の動作から考えるとおかしなものです。動作の改善には、不適切と言って良いでしょう。
低負荷の運動で、なおかつ短時間で、成長ホルモンの分泌が促せるというのは、メリットの1つだとは思います。
低負荷で行える事のメリットとしては、
①関節への負担が少ない(ケガのリスクが低い)
②精神的な負担も少ない
などが考えられます。
なので、短時間で効率的に効果を求める方(何の効果を求めるかにもよる)や、関節への負担をかけたくない場合、高強度のトレーニングを行えない場合などには、有効な選択であると思います。
…あ。ちなみに、私、約5年前。加圧の資格を取得する前の話ですね。週1回30分の加圧トレーニングのセッションを約3ヶ月間受けていました。「加圧ってどないやねん」と思い(笑)、とりあえず実際体験してみようと思いまして。
その結果、約3ヶ月間で、大腿部の周囲径が63cmから67cmになりました!これは驚くべき効果で、筋肉はそんなに簡単につくものではありませんし、ある程度トレーニングを実施していたら、トレーナビリティ(伸び幅)はかなり少ないはずですからね。これには、本当に驚きました。
まあ、毎回吐く寸前まで追い込まれましたけど(笑)筋肉痛がほとんど出ないと言われる加圧トレーニングで歩行が困難になるほど、筋肉痛になりましたけど(笑)精神的な負担はかなり大きかったですけど(笑)
そう、あの感覚は、400mを何本も走らされた時とか、パワーマックスのミドルパワーをやらされた時とか、、高校時代の部活を思い出しました(笑)要は、めちゃくちゃ乳酸が溜まって、成長ホルモンが分泌されるってことなんですがね。
…おっと!話を戻します。
何事も、表面上の情報に流される事なく、色んな側面からみて、果たしてそれは本当に有効なのか?自分にとって有効なのか?など、包括的な視点で考えていくべきではないかと思います。
あなたには、何が必要で、何を行う事が必要なんでしょうか?
あの人が加圧トレーニングをやって効果が出たからといって、あなたも加圧トレーニングを行えば効果がでるとは限りません。
加圧トレーニングは、目的に対する手段の一つにしか過ぎません。
加圧にしか出せない効果もありますが、加圧には出せない効果もたくさんあります。むしろ、そっちの方が多いです。
最後に、コチラの記事も合わせてお読みいただくと、認識が少し変わるのではないかと思いますので、お時間ある方は、ぜひ、お読み下さい☆
かなり長文となってしまいました。。最後までお読みいただきありがとうございます!
それでは、また!
(参考文献:加圧トレーニングの理論と実践(KSスポーツ医科学書)
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Your Best Solution代表/パーソナルトレーナー
五木田穣