本日は、船橋アリーナで活動中のパーソナルトレーナー五木田です!
空き時間に、Q&A更新致します!
「体幹トレーニングとは何ですか?」
を踏まえて、体幹トレーニングと言われるものについて解説して行きます。
まずは、前回までの復習をしましょう。
- 体幹の役割は、体幹を安定させること、力を伝達すること、の2つが考えられる。
- 体幹(脊柱)は、不安定な構造のため、安定性が求められる。
- 体幹は、外力に対して、屈曲しすぎない、伸展しすぎない、側屈しすぎない、回旋しすぎないように働く必要がある。
- 下肢で発生させた力を上肢まで伝えるために、体幹の固定力が必要である。
- いわゆる体幹トレーニングだけをやっても、競技力向上にはあまり役立たない。
でした。
そもそも「体幹トレーニング(と言われるもの)」に関しての定義付けがはっきりしていません。なので、色んな人が、色んなように言っている、やっているという現状があります。
おそらく「体幹トレーニング」と聞いてイメージするものも人によって様々かと思います。
なので、客観的な視点で「体幹トレーニング(と言われるもの)」について考えてみたいと思います。
■「体幹トレーニング」とは何なのか。
先述したとおり、「体幹トレーニング」という言葉を聞いてイメージするものは、様々でしょう。
まず、言葉だけを見てみると、「体幹」+「トレーニング」ですよね。
復習ですが、「体幹」は、四肢(腕と脚)と頭部を除く部分であり、脊柱、胸郭、骨盤の骨で構成されています。
体幹の動きに関連する筋肉は、腹筋群と背筋群で、身体を丸めたり(屈曲)、反らしたり(伸展)、横に曲げたり(側屈)、捻ったり(回旋)するのに、働きます。
つまり、言葉から考えると、「体幹トレーニング」は、「体幹」にある筋群(腹筋群、背筋群)を鍛える(トレーニングする)だけのものであり、それ以上でもそれ以下でもありません。
■良く見る体幹トレーニングの例。
例えば、「体幹トレーニング」と聞くと、こんな写真のようなエクササイズをイメージするでしょうか?
この写真のような種目は、「スタビライゼーション(stabilization)」と言われるものです。
stabilizationとは、安定させる事、といった意味合いになります。
一般的に、体幹トレーニングと言われるものは、こういった体を固定して安定させた状態をキープするような種目を指すことが多いですね。
前回の記事で、「体幹は不安定な構造だからこそ、安定性が求められる」と述べた通りですが、このような種目は、「体幹部を安定させる」感覚を得るためには有効な種目かと思います。
でも、それだけです。
それ以上の何か特別な効果を期待するのは、おかしな話です。
■強い体幹とは?
上記のような種目行っているだけでは、体幹部の筋群は鍛えられませんし、強くなりません。あくまで体幹を固定する感覚を得るためだけのエクササイズです。
まず、ここをはき違えないで欲しいのですが、体幹を鍛える、強くするためには、負荷が必要です。ただ止まってじっとしているだけでは、筋肉はつきません。
実動作の中では、体幹はただ固定しているのではなく、ダイナミックな動きの中、または外力がかかった状態でも、体幹をブレる事なく、安定させておく必要があります。
実際のスポーツ場面では、あらゆる方向から、より強い力がかかってきます。
ラグビーなんかはとても分かりやすいですね。
それに対して、崩れないように、負けないようにキープする、体幹の強さが必要です。
■ウエイトトレーニングの重要性
より「強い体幹」を身につけるためには、ベーシックなウエイトトレーニングを行うことが、最も効果的です。
スクワットやデッドリフト、ウエイトリフティング(クリーン)などのベーシックな種目を適切なフォームで行うことができれば、より強い体幹を獲得することができるでしょう。
ただ体幹を固定するだけのエクササイズや、バランスボールなどの不安定要素を作るツールを使ったエクササイズを行っても、体幹は鍛えられません。
C.ロナウド選手は、とても凄い身体をしていますが、こんなトレーニングメニューを行っているそうです。
・スクワット(150kg) 6回×4セット
・ベンチプレス(100kg) 6回×4セット
・クリーン(75kg) 6回×4セット
・レッグプレス(200kg) 6回×4セット
・デッドリフト(200kg) 6回×4セット
・ショルダープレス(70kg) 6回×4セット
・アームカール(30kg) 6回×4セット
・トライセプスエクステンション(30kg) 6回×4セット
・ラットプルダウン(75kg) 6回×4セット
世界のトップ選手は、どの競技においても、皆、ウエイトトレーニングを取り入れています。
体幹にある筋群は、不安定な構造である脊柱を正常な位置に保ち、下肢から生み出した力をロスなく伝えるために働きます。
ただ単に体幹を固定しておくだけではなく、「体幹を固定しながら動く」「負荷に対して負けないように維持する」といった、ベーシックなウエイトトレーニングをきっちり行うべきです。
体幹トレーニングは、とても特別な効果の出る魔法のようなトレーニング方法ではありません。
過度な期待はしないようにしましょう。
繰り返しますが、「体幹トレーニング(と言われるもの)」は、体幹を固定する感覚を養うためのものであり、それ以上でもそれ以下でもありません。
最後に、もう一つ。
バランスボールのような不安定要素を作り出すツールを使うトレーニングも体幹を鍛える効果はありませんからね。特に特化して行う必要はありません。
それでは、まとめましょう。
- 体幹トレーニング(と言われるもの)は、体幹を固定する感覚を養うためのものであり、それ以上でもそれ以下でもない。
- 体幹トレーニング(と言われるもの)は、体幹を安定させる感覚を養うのには有効だが、ただ、体幹を固定しておくだけのエクササイズでは、体幹は鍛えられない。
- 体幹にある筋群は、不安定な構造である脊柱を正常な位置に保ち、下肢から生み出した力をロスなく伝えるために働く。
- 本当の意味での体幹の強さは、ベーシックなストレングストレーニングを行うと身につく。
- バランスボールなど不安定要素を作り出すツールを使用しても体幹は鍛えられない。
なお、明日はちょうど、体幹トレーニングに関する運動指導者向けのセミナーにて講師を務めます。
今回書いたような内容を、エビデンスベースで説明し、実際の実技まで行います。
ご興味ある運動指導者も皆様は、ぜひご参加下さい☆
「ムーヴメントパターンコンセプトにおける体幹トレーニングの実際」
日時:7月20日(日)19時〜22時
場所:パーソナルトレーニングスタジオBody Base 千葉駅前店
料金:8,000円
講師:五木田穣
主催:Body Base , Your Best Solution
・ムーヴメントパターンコンセプトとは何か。
・体幹トレーニングの意義、位置づけ。
・体幹が強いとは?
・インナー?アウター?
・スタビリティ、モビリティの概念。
・バランスツールの是非。
・動作の中でどう体幹の筋群は使われるのか?
・下肢-体幹-上肢への力の伝達。
・ベーシック種目の重要性。
・リニアムーブメント及びラテラルムーブメントへの応用
お申込は、コチラからお願い致します。
それでは、また!
千葉県のパーソナルトレーナー
五木田穣